日本の気候風土に適した木で、日本人の生活環境に適した無垢の床板を造ろうと考えたとき、夏の湿度と冬の寒さを考慮した「素足の快適さ」と、普段の生活の中で何事もなく「床であり続けるための考慮」が必要です。日光赤杉フローリングは、日光の良質なスギと創業以来培ってきた製材乾燥技術を注いで造った「杉床板」の日本最高品質フローリングです。
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スギという樹種は日本の固有樹種であり、日本を代表する樹木です。この私たちの最も身近にある「スギ」が、「床板」として一般建築に当たり前のように使われるようになったのは、まだ近年のことです。スギは床板に重要視されてきた要素の一つ「密度」が平均0.38と、ヒノキの0.44と比べた時に「傷」が付きやすいという点で避けられてきました。
石油製品で覆われ硬く傷がつかない汚れない、経年劣化を良しとしない。そんな時代の建築様式から、自然志向・健康志向の流れに沿い、身近な木「スギ」の無垢フローリングが見直されるようになりました。しかし、スギは密度以上に個体差が大きく、さらには乾燥管理が難しく、単純に製材・乾燥して実(さね)を付ければ床板になるという樹種ではありませんでした。結果SNS上でスギフローリングの賛否が交わされているのは、多くの製材工場が安易にフローリングとして製材出荷してきたその失敗を繰り返してきたからに他なりません。
スギは、床板という用途に合わせ、部位・木取り・乾燥・管理を徹底することで、本来の特性を活かした最高のフローリングになります。
田村材木店が目指したスギフローリング「日光赤杉フローリング」をぜひご覧ください。
日光赤杉フローリングは「やさしい床板」である事が特徴です。杉は木材中の空隙量(空気の入る隙間)が多いという特性によって優れた断熱性をもっています。体育館などの床板に使われている広葉樹と比べると約3倍の断熱性があり、夏にはさらりと適度に涼しく、冬に裸足でも冷たく感じないのはこの空隙量のおかげです。その反面、比較的やわらかいという特性もあり傷も付きやすいですが、年配の方の足腰の負担や、床で「はいはい」するあかちゃん、大切な人にとって、この杉の床板はとってもやさしい床板です。もちろん、床板の厚みにも重要なポイントがあります。空気の入る隙間は天然の調湿をしてくれる湿度の保管庫です。適度な厚みは、年間を通して日本の気候に合った調湿をしてくれます。余計な加工を加えず「杉」本来の特性を活かすことが、日光赤杉フローリングの基本です。
日光赤杉フローリングの最大の特徴は、「赤身(心材)」だけで造っている事。 そして、おおきな変形を起こさない事。どちらも、ずっと永きに渡りご使用いただくための重要なポイントです。樹木としての杉は自らの体を自然の脅威から守るため、白から耐朽性の高い「赤」に変えていきます。「赤身」は水と蟻に強い天然の耐朽力を持っています。腐りづらくてシロアリに食われづらい天然の特性が「赤身」にはあります。昔ながらの大工さんが好んで赤身を使用したのはこのためです。そして樹芯に近い赤身には辺材より高い寸法安定性があります。この天然の寸法安定性に、人工乾燥技術を加えた水分調整で、フローリングの収縮変形を最小限に抑えています。また、日光の名をとったこのフローリングは、日光産の建具用樹齢80年以上の大径木のみを使用し、樹齢の若い密度の低い木と比べて長年使用した時点での違いが大きく出る事に気づくでしょう。ずっと何事もなく、ずっと普通に床板である事。田村材木店が最も重要な位置付けとした課題です。
無垢フローリングの張り替えは大工事です。だからこそ、飽きの来ないシンプルで、自然なフローリングであることが大切です。日光赤杉フローリングの節と色は、節には人工的に加工したものを詰める埋め木をせず、色は赤と白が混材しません。建築において床板は視覚に入る割合が多く、木目の視覚効果を望める部材です。そのため床板の節と色で部屋の雰囲気が大きく変わる事になります。自然のままの程よい節と主張しすぎる事のない統一された赤身の色は、やさしいスローな生活スタイルに合う事でしょう。赤身の杉は家族の生活と共に表情を変えていきます。傷がついたりへこんだり擦れたり、少し凹凸が出てきて赤身特有の飴色に変わってきて、日光赤杉フローリングの完成形は10年後になります。耐朽性と共に、長年生活する上で「飽きの来ない」ことは、とても重要なことだと思います。
埋木をしない、自然な節にこだわります。
埋木(埋節)とは、死節(枝が枯落た痕跡)を機械でくり抜いて、そこに枝や同じ材種の木を円柱または円錐形に加工したもので埋める事をいいます。 木材用パテで埋めている製品もありますが、双方とも木の収縮膨張などによって埋木自体が抜け落ちたり欠けたりすることが有り、場合によってはそれ自体が浮き上がる現象がおこり、歩行の妨げになる事もあります。見た目の不自然さと後のトラブルの原因となる可能性がある埋め木は行いません。田村材木店ではできる限り自然の形状にまま納材する事にこだわりを持ち、極力死節を減らすため徹底した製材時の原木選定・製材品分別管理で対応します。そのため、納材品に若干の節欠け・抜け落ちなどが混入する場合があります。ご注文数量より数枚程度予備材を含めますので、切り回し等で御対応をお願いしております。
「丈夫で長持ち」は床板として当然求められる条件です。 日光赤杉フローリングは、辺材(白太)と比べて水に対しての耐朽性や耐蟻性が高い「心材(赤身)」だけで造る事を基準としています。 杉は成長する過程において形成層と呼ばれる樹皮のすぐ内側の部分で、細胞分裂と木化を繰り返していますが、すべての役割を終えると自然の過酷な環境から自らの身を守るために、白から赤に変わる「心材化」をしていきます。 心材化した時にでんぷんや糖などがフェノール類などに変わり防腐・防菌剤としての働きをしてくれるため、赤身だけで造る日光赤杉フローリングはこれ自体が腐りづらくシロアリの食害にも強い「天然の耐朽力」を持っているといえます。また、辺材と比べて密度の高い心材は「キズがつきづらい」という特性も兼ね備えています。
ここでいう含水率とは、木材中に含まれる水分の割合のことですが、この含水率が施工後の木材変形(床板間の隙間など)に大きく影響してきます。日光赤杉フローリングに限らず杉無垢床板に適した厚みは「薄すぎず厚すぎない」適度な厚みが必要になります。薄すぎると含水率を下げやすいが調湿性・断熱性・遮音性ともに減少し、厚すぎると木材中の含水率を低下させるために比較的高い温度や長期間の人工乾燥が必要になり、その後の変形量も大きくなる傾向にあります。また、天然乾燥のみの仕上げでは平衡含水率以下に下がることはなく、施工後暖房などによる冬期室内湿度の低下から床板の隙間が顕著に現れる事があります。これらを踏まえ日光赤杉フローリングは、厚みを20mmに設定し、天然乾燥(前乾燥)・人工乾燥(低温蒸気)・天然乾燥(養生乾燥)の3段階に分け、人工乾燥の段階で平衡含水率より低い10%(8%基準)以下に抑える事で「ヒステリシス」(天然乾燥のみの乾燥方法より常に含水率が低い=水分履歴現象)を用いて変形の少ない床板に仕上げています。
素材の良さを十分に活かすためには、丸太に適した寸法で製材する事が必要になります。
日光赤杉フローリングは、日光産の樹齢80年以上の心材(赤身)部分の多いスギを素材としています。樹齢が80年以上になると、断面の直径が30cmを超えてきます。樹齢が経つにつれ辺材(白太)が少なくなり、心材(赤身)が割合的に多くなります。こうした事から、心材の部位を有効に活かす寸法が算出されます。吸湿による変形を最小限に抑える事のできる最大寸法として、原板寸法を巾180mmと設定いたしました。180mmの原板を乾燥・加工を経て巾160mmに仕上げる事が全てを考慮した上で行き着いた素材を活かすための最良の寸法です。
丸太の表面に近い方が木表。芯に近い方が木裏といいます。海外からの輸入材の多くは、樹種の違いや生活環境の違いから木表木裏を気にせず加工される場合がほとんどです。表裏の反りや変形などの違いもありますが、最も注意しなければならないのが木裏に使用した場合の「剥離(目離)」です。なかでもパイン材などの輸入材では、木目に沿って木が剥がれ尖ったささくれで足を怪我する事例が多く報告されています。日光赤杉フローリングは素足の生活を前提に造っていますので木表仕上げが原則です。また、電子顕微鏡で拡大して観察してみるとわかるように杉は「小さな管(細胞壁)」の集合体です。広葉樹と比べると隙間が多いので熱伝導率が小さくあたたかくやさしい床板になります。長い年月を経ると密度の低い表面の「早材(春~夏材)」の管がつぶれ凹み、密度の高い「晩材(夏~秋材)」だけが浮き上がるように残ります。「住む人と共に表情を変える」これが杉床板の魅力です。
縦に製材しても横に製材しても、常に丸太の中心に近いほうが「木裏(きうら)」になり、丸太表面側が「木表(きおもて)」になります。床板に使用する場合は必ず「木表」が足に触れる面として加工します。
木目が剥がれるように持ち上がってしまうのが「目離れ(めばなれ)」です。木は樹皮の内側で外側へ一層づつ包むように成長するため、中心側(木裏側)が年輪に沿って剥がれてしまうことがあります。これは木裏側には頻繁に発生する現象で、刺さるなどの怪我をすることがあるので、通常は人が触れることを前提とした場合は、木裏を表面に使用することはありません。
杉は仮道管(かどうかん)とよばれる「管(くだ)」が構成割合の約90%を占めています。
簡単に説明すると、杉は「ストロー」のような管の集まりなので、空気量が多く暖かくて柔らかいという事になります。
弊社の杉床板は樹齢80年以上で建具材にも使える目の細かい原木丸太を使用していますが、これにも理由があります。木には木目がありますが、これは日本の「四季」に大きく関係してきます。春先から夏頃までには成長が早く「ストロー」の壁厚が薄く直径が大きな仮道管ができます。昔ながらの大工さんなどは「夏目」なんて呼んでいたりしますが、正式にはこれを「早材(そうざい)」といいます。夏の終わりの頃から秋頃までに成長した木部は、「ストロー」の壁厚が厚く、直径が小さな仮道管ができます。これを「冬目」なんて呼んでいたりしますが、正式には「晩材(ばんざい)」といいます。この年間を通しての成長量の違いが色の濃淡になり木目に見えます。当然「晩材」が多く目の細かい方が、硬く傷が付きづらく強度も高い。だから成長の遅く年輪の細かい原木だけを使う。という事になります。
杉は学名をCryptomeria Japonica(クリプトメリア・ジャポニカ)と言い「日本」を表す単語を持つわが国固有の有用樹種です。
木の国日本の文化を支えてきた「杉」を現代の技術と伝統の方法で、唯々シンプルに素材の持ち味を活かすために手間暇惜しまず愛情を注いで手造りする生産工程が日光赤杉フローリングの品質です。
台車(送材車付き帯鋸盤)は大量生産向けではありませんが、木取の自由度が高く、赤身だけを丁寧に製材するには適した製材機です。
製材途中では分からなかった割れや色の変化・節の程度・木目の通りなどを、製材後一枚一枚全ての原板を選別しながら桟積みしていきます。この段階で全体数の約1~2割振い落されます。床板にならない原板は別の用途へと再製材します。
桟積みした後、(1)天然乾燥(前乾燥)→(2)人工乾燥(低温蒸気乾燥)→(3)天然乾燥(養生乾燥)の工程で木材中の水分を一旦10%以下(8%基準)まで下げた後、養生乾燥で安定させています。
加工直前に2度目の選別を行います。乾燥を経た原板は製材直後と比べ色の変化や節抜けなどが発生する場合があります。基準に適さないものは、専用の下貼材(下地材)へと分別をしていきます。
2度の選別工程を経て厳選された原板は、実加工・反り止め加工を経て超仕上げを行い日光赤杉フローリングになります。
日光赤杉フローリングは厚み20mmの無垢床です。根太棒への直貼りは避け、下貼材の上に施工していただけますようにお願いをしております。下貼材はコンパネ等の合板若しくは、含水率を10%以下まで下げた無垢材をご使用ください。無垢材の場合の推奨寸法は厚み15mm以上、適しているのは日光赤杉フローリングと同等の厚み20mmです。
田村材木店では日光赤杉フローリング生産時に発生するB材(白太・変色・抜節・割れ)を、4面プレーナー仕上掛けした日光赤杉フローリング専用の下貼り材(3640×20×170mm)をご用意しております。合わせてお問い合わせください。
日本人の気候風土に適した木で日本人の生活環境に適した無垢床板を造ろうと考えた場合、夏の湿度と冬の寒さを考慮した「素足の快適さ」と、寿命の長い日本建築においての床は「ずっと使えるための配慮」が必要であると思います。日光赤杉フローリングは最上の素材と技術そして長年の経験で造った「杉床板」の最高品質フローリングです。
商品名 | 日光赤杉フローリング |
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樹種 | スギ |
産地 | 日光地区 |
寸法 | 3640×20×160(長さ×厚み×巾 mm) |
等級 | 心材(赤身)節有 |
表面仕上 | 超仕上 |
塗装 | 無塗装 |
加工形状 | 本実加工 糸面取 裏側(木裏)反止溝付 |
木口加工 | 加工無し(伸び付き5センチ程度・切りっ放し) |
乾燥方法 | 天然乾燥+人工乾燥(蒸気式低温) |
納期 | 通常:発注より2週間程度(在庫状況により変動) |
日光赤杉フローリング 価格 | ||
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単価 | 備考 | |
1枚単価 | 3,750円(税別) | 1枚≒0.58m²≒0.18坪 |
1m²単価 | 6,438円(税別) | ¥21,328坪単価÷3.3124計算 |
1坪単価 | 21,328円(税別) | @¥3,750×5.6875枚計算 |
※製品の寸法が160ミリのため、坪に対して枚数で割り切れないことから、販売は枚数単位にしております。必要な坪数または平米数をお伝えいただければ枚数に換算いたします。
※表面仕上げは、超仕上げの他にサンダー仕上にも対応可能です。