栃木県は昔から桧の生育地の最北限として優良な桧の原木丸太が産出されてきました。中でも栃木県の北部に位置する塩谷郡の船生から出荷される原木丸太は特に良材とされ「船生ヒノキ」として、木材業界では最高品質の評価を得てきました。この船生ヒノキの代名詞となっているのが「宇都宮大学船生演習林」で産出されるヒノキです。
2015年に「宇都宮大学農学部附属船生演習林」がSGEC森林認証を取得したことにより、流通過程においても森林認証で循環させることを目的に、「田村材木店」と連携し、宇都宮大学ブランドの「SGECヒノキ製材品」の生産に着手しました。それが「宇大ヒノキ」です。
「宇大ヒノキ」は、教育・研究のフィールドとして管理された宇都宮大学農学部附属船生演習林から産出される
「ヒノキ(桧)」を素材に、森林認証のトレースアビリティーを加えた『宇都宮大学ブランドのヒノキ製材品』です。
宇大ヒノキは『緑の循環』認証会議SGECの認証制度に基づいて生産されています。
SGEC/31-31-1124
宇都宮大学農学部附属船生演習林
JAFTA-047
大学の演習林単独としては全国初のSGEC森林認証を取得。国際的な基準に基づいて適正に管理された森林から、明確な生産履歴で良質な原木を供給します。
有限会社 田村材木店
JAFTA-W012
2006年にSGEC森林認証を取得。森林認証制度に基づく徹底した分別管理を軸とした生産体制で、受注状況に合わせた製材・乾燥を経てラベリングを施し出荷します。
SGEC森林認証材として出荷される「宇大ヒノキ」は、オリンピック関連施設に使用される国際的な基準を満たした製材品です。使うほどに、資源循環型社会の実現に貢献する事ができます。
「宇大ヒノキ」は、宇都宮大学農学部附属船生演習林から伐採搬出された森林認証(SGEC)原木を素材とした製材品のブランド名で、製材・乾燥過程において構造材・羽柄材・造作材など様々な製品が生産されます。その代表的な製材品が、柱や土台に使われる「角材」になります。
ここでは、その一例として宇都宮大学農学部附属船生演習林から出荷される原木から「宇大ヒノキの角材」として、家の柱材になるまでの工程をご覧ください。
宇都宮大学農学部附属演習林は、「緑の循環」認証会議(SGEC)の森林認証を取得しています。
宇大ヒノキは、この森林認証林から産出されます。
演習林から伐採された原木は、適寸に玉切られた後、土場に集材され選別を行います。
出荷される原木全てに、シリアルNo等が記載されたタグが貼られます。
製材時にはその全ての作業をSGEC認証制度のCOC分別管理基準に基づいて「宇大ヒノキ」の工程に移行させます。
この原木から生産される製品は全て管理され、他の材が一切混入しない徹底した生産体制で行います。
角材に製材された「宇大ヒノキ」の製品は、桟積みされ乾燥工程に進みます。
お客さまの要望に対応し、天然乾燥、人工乾燥、ハイブリッド乾燥など受注状況に合わせ乾燥を行います。
出荷直前の「宇大ヒノキ」は、すりばんとステッカーの「ラベリング」を施します。
こうした分別と表示の仕組みは、森林認証のシステムで行っています。
様々な生産・管理工程や検査を経て「宇大ヒノキ」は出荷されます。
宇大ヒノキの多くは建築部材として、大工さんの作業場やプレカット工場に搬入され、様々な建築物に使用されます。
使う人にとって最も重要な「安心」を届ける仕組みが森林認証であり、研究フィールドとしての森林管理から産出される良質な素材、
そして徹底した生産管理と製材乾燥技術で作られるのが「宇大ヒノキ」です。
栃木県唯一の国立大学法人である宇都宮大学は宇都宮高等農林学校を前身としており、現在でも農学部森林科学科において森林技術者育成、森林に関する学術研究、林業の改善発達への貢献を使命として活動し続けています。大学設置基準という法律には「林学」に関する学科を設ける大学にはその学科の教育研究に必要な附属施設として演習林を置くものとすると定められています。
宇都宮大学農学部附属演習林(以下宇大演習林)は林学の教育研究に必要不可欠なフィールドとして昭和12年に宇都宮高等農林学校演習林として当時の国有林から移管換えされました。以来、80年に渡り「伝統」に基づき「先端」の技術を追求することで一貫して管理されてきた「大学の森林」が「宇大演習林」です。
宇大演習林はヒノキ・スギの人工林が中心の「船生演習林」と亜高山帯の森林である「日光演習林」の2つの地区で構成されています。特に船生演習林は、古くから船生ヒノキの産地である塩谷町船生に所在し、明治時代に植栽された林齢100年を超える人工林をはじめとする約540haの森林で直営生産を実践しています。2014年には全国初の大学単独のSGEC森林認証を取得しました。
船生演習林には学術研究のフィールドとして多種多様な試験林、見本林が整備されており、長期測定観察が行われています。特に人工林の成長に関する試験林が充実しており約40プロットにおいて長期モニタリングが実践されています。また、最新の航空機を用いたレーザー計測が全林を対象に行われており単木単位での樹木データベースの整備が行われています。
充実している林業機械を活用した実践的な林業作業システムに関する研究も行われています。加えて植物や野生動物についての生態学的なモニタリングも行われており、森林に関する総合的なフィールド研究の場となっています。
宇都宮大学森林科学科はJABEE認定された技術者教育プログラムであり、質・量とも全国一の実習を実施しています。演習林はその実習の場として活用されており、植え付けから伐採収穫まで一連の林業作業に加え、経営計画立案などより実践的かつ応用的な実習プログラムが開講されています。
また、地域における「知の拠点」として小中学生の森林体験プログラムや森林ボランティアの育成事業、国家公務員の研修事業など幅広く森林技術者育成を行っています。
宇大ヒノキの最大の特徴は、全てが産地でもある宇都宮大学農学部附属の船生演習林から産出される「学術研究林材」であることです。これは一般的な山林から搬出される原木とは大きく異なり、営利を主たる目的としていない事で、より多くの労力を森林に費やす事ができるため、長期に渡る観測や測定、先端の技術を用いた森林管理、実習の場としての定期的な作業等により、当然ながら通常の山林から産出される原木よりも、良質で管理の行き届いた原木が産出される環境が整っています。
更には受け継がれたその膨大なデータは、出荷される全ての原木データはもちろん、その成長の記録までも追いかける事ができます。
航空機レーザー計測画像(4林班)
実際に一般建築等に使用する事を前提とした「木材」としての価値を計測するために考慮すべき要素の一つ「力学的強度」について、宇都宮大学農学部附属船生演習林から産出された原木を、一般的な木造建築物の「柱材」に使用する寸法に製材し、乾燥を経て出荷直前の状態で、栃木県林業センターにて強度(ヤング係数)の測定を行っています。
結果は上記試験結果表の通り、宇大ヒノキの平均はE130を示し、良質で知られる栃木県産の一般的に流通しているヒノキと比べ、強度が高い事が実証されています。
Efr測定結果一覧2015.5.12 | ||||||
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No. | 材巾 (mm) |
材背 (mm) |
材長 (mm) |
重量 (kg) |
ヤング率 (kN/mm2) |
等級 |
201501080047 | 105 | 105 | 3100 | 18.30 | 10.80 | E110 |
201501080135 | 105 | 105 | 3100 | 16.72 | 13.15 | E130 |
201501080103 | 105 | 105 | 3100 | 17.37 | 12.37 | E130 |
201501080007 | 105 | 105 | 3100 | 16.35 | 10.08 | E110 |
201501080090 | 105 | 105 | 3100 | 17.19 | 11.90 | E130 |
- | 105 | 105 | 3100 | 17.74 | 13.00 | E130 |
201501080137 | 105 | 105 | 3100 | 16.71 | 14.48 | E150 |
201501080025 | 105 | 105 | 3100 | 17.28 | 12.98 | E130 |
201501080068 | 105 | 105 | 3100 | 15.30 | 10.76 | E110 |
201501080092 | 105 | 105 | 3100 | 17.81 | 13.73 | E130 |
201501080086 | 105 | 105 | 3100 | 16.56 | 11.42 | E110 |
201501080017 | 105 | 105 | 3100 | 15.71 | 11.80 | E130 |
201501080110 | 105 | 105 | 3100 | 18.92 | 14.31 | E150 |
201501080082 | 105 | 105 | 3100 | 16.00 | 13.29 | E130 |
201501080069 | 105 | 105 | 3100 | 16.00 | 11.92 | E130 |
201501080113 | 105 | 105 | 3100 | 18.19 | 12.35 | E130 |
201501080118 | 105 | 105 | 3100 | 19.64 | 14.90 | E150 |
201501080052 | 105 | 105 | 3100 | 17.14 | 11.86 | E130 |
201501080041 | 105 | 105 | 3100 | 17.79 | 12.70 | E130 |
201501080057 | 105 | 105 | 3100 | 17.07 | 13.11 | E130 |
201501080021 | 105 | 105 | 3100 | 17.82 | 13.74 | E130 |
201501080001 | 105 | 105 | 3100 | 16.22 | 10.88 | E110 |
201501080089 | 105 | 105 | 3100 | 16.49 | 10.78 | E110 |
201501080031 | 105 | 105 | 3100 | 15.28 | 10.46 | E110 |
201501080077 | 105 | 105 | 3100 | 16.53 | 12.40 | E130 |
201501080116 | 105 | 105 | 3100 | 17.30 | 12.35 | E130 |
201501080038 | 105 | 105 | 3100 | 18.36 | 13.50 | E130 |
201501080013 | 105 | 105 | 3100 | 17.84 | 11.10 | E110 |
201501080083 | 105 | 105 | 3100 | 16.92 | 12.20 | E130 |
201501080121 | 105 | 105 | 3100 | 15.54 | 12.14 | E130 |
201501080048 | 105 | 105 | 3100 | 17.22 | 12.93 | E130 |
201501080110 | 105 | 105 | 3100 | 18.63 | 15.89 | E150 |
201501080130 | 105 | 105 | 3100 | 16.19 | 11.77 | E110 |
201501080157 | 105 | 105 | 3100 | 17.90 | 12.76 | E130 |
201501080123 | 105 | 105 | 3100 | 17.86 | 12.41 | E130 |
201501080024 | 105 | 105 | 3100 | 16.87 | 11.37 | E110 |
201501080036 | 105 | 105 | 3100 | 17.37 | 12.37 | E130 |
201501080040 | 105 | 105 | 3100 | 15.64 | 12.23 | E130 |
201501080151 | 105 | 105 | 3100 | 17.52 | 13.48 | E130 |
201501080115 | 105 | 105 | 3100 | 16.45 | 12.30 | E130 |
平均値 | 17.09 | 12.45 | ||||
標準偏差 | 1.01 | 1.24 | ||||
最大値 | 19.64 | 15.89 | E150 | |||
最小値 | 15.28 | 10.08 | E110 |
宇大ヒノキに欠かすことのできないのが「森林認証」です。
宇大ヒノキの生産流通の根幹を成している森林認証制度は、宇大ヒノキの木材としての品質を評価するものではなく、持続可能な森林管理により、生物多様性に富み、水と土壌を守る森づくりを進める事で、第三者機関より認証を受けた宇都宮大学のFM認証林から生産される認証林産物としての素材(宇大ヒノキ原木)を、分別管理の認定を受けたCOC認証事業体の田村材木店が製材しラベリングを行い循環させる仕組みです。この認証制度の共通ルールに沿って、宇都宮大学と田村材木店は明確な産地証明、確実な流通、正確なデータ管理を共有し消費者へ安心と安全をお届けいたします。
宇大ヒノキは宇都宮大学演習林の山林からしか産出されません。明確にそして具体的にその産地と生産履歴を証明することができます。
宇大ヒノキの生産工程は、SGEC森林認証制度に基づいて流通経路を定めています。徹底した分別管理と表示義務、そして第三者機関の審査の上に成り立っています。
営利を主な目的とする一般的な森林とは異なり、試験・研究林として通常の森林では行うことのない計測や調査・モニタリングによって、建築材としては他に類のないデータの蓄積があります。
素材となる原木丸太は、宇都宮大学農学部附属演習林で生育し樹齢60年を超えたヒノキから順に計画に沿って伐採搬出が行われますが、演習林は学術研究及び教育の場として森林を保持しているため、一般的な針葉樹林とは異なり純粋な営利目的で伐採を行うことはありません。通常の人工針葉樹林は「伐るために植える」のですが、演習林は「研究・教育のために植える」ので、市場の動向に左右されることなく、年間に一定の数量しか伐採を行いません。そのため、演習林のヒノキを素材とする「宇大ヒノキ」は年間出荷量に限りがあり、ご利用をご計画されている全ての方にいきわたらないのが現状です。
一定数産出される素材は、常時注文数の多い「角材」を基準の規格として製材・乾燥・を経て保管しておりますが、在庫があっても必要本数に足りない場合や、ご希望の乾燥方法に添えない場合が予想されます。利用のご計画をいただいております方には、必要数量の確保や伐採時期に合わせたご注文をお勧めしております。まずはお問い合わせください。
宇大ヒノキ 標準製材規格2015.5.12 | |||||
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品名 | 長さ (mm) |
巾 (mm) |
厚み (mm) |
乾燥 | 仕上 |
宇大ヒノキ | 4000 | 120 | 120 | KD・HD | プレーナー |
4000 | 105 | 105 | KD・HD | プレーナー | |
3000 | 120 | 120 | KD・HD | プレーナー | |
3000 | 105 | 105 | KD・HD | プレーナー |