「追柾」は板目と柾目の中間の杢目のことで、一般的な板目のフローリングより圧倒的に変形収縮しにくい。木材は異方性があるためXYZの3軸方向それぞれで膨潤収縮の率が異なり、乾燥による収縮率はおおよそ「繊維方向:放射方向:接線方向=0.5~1.0:5:10」になる。つまり、板目よりも変形しにくいことがわかる。そして、板目とは異なる追柾の木取りは、晩材の出現率が高く傷が付きにくく目立ちづらい。これらの要素はフローリングとしては最適だと言える。量産ができないこの木取りは、手間暇を十分にかけられる小さな製材工場でしか造れないため、一般流通の少ない貴重な床板となっている。
田村材木店の製材品は、設計事務所さま・工務店さま等の業者さま向けに生産している専門性の高い製材品になりますので、大手通販サイトでの販売は行ってはおりません。
ご注文および製品についてのお問い合わせは、問い合わせフォームまたはお電話にてご連絡ください。
丸太をスライスするように、丸太の側(耳)を残した状態で製材していきます。
これを直径40センチ程度の丸太から十数枚製材します。原木丸太は根元が太く先端に近づく程細くなりますので、製材後は製材面が台形の板材ができます。
台車でスライスされた板材は、オートテーブルで「テーパー挽き」をしていきます。 通常の製材の木取りは、円錐形の丸太を長方形に製材することを前提に鋸を入れるので、外側(皮側)を三角の端材として処分(処理)しますが、テーパー挽きは、板の外側(皮側)を基準に中心に三角形を残すように木目に沿って製材します。この挽き方の利点は、節の多い中心部を三角形に抜き落し、両側の辺材(白太)を活かすように製材するので、節の少ない原板を多く生産することができます。
田村材木店が造る追柾フローリングの等級は、節有と節無し両方が含まれた「込み材」として販売しておりますが、発注数量の約半分は節無の役物が含まれます。これは、こうしたテーパー挽きにより必然的に節の少ない部分だけが製材できるためです。原則、節有のみや節無しのみの販売は行ってはおりませんが、出荷時にそれらを分別して梱包することは可能です。必要な際にはお申し付けください。
予め分別仕分けをして出荷することで、リビングや玄関などに役物だけを使用するなど、現場での貼り分が容易になります。
追柾の木取り
追柾(おいまさ)の木目
木目は、辺材(白太)に近い部分は柾目になり、中心の心材(赤身)に近づくにつれ板目になっていきます。この木目から柾目と板目の中間と表現されることの多い追柾ですが、最大の特徴は、柾目の木取りに比べ製材に複雑さがなく一定寸法の製材が容易なため、フローリング材・羽目板材としての製品製材に適している木取りであること、そして、板目と比べて中心から左右に割って製材する木取りなので、狂いが少なく安定性が高いことが挙げられます。更には柾目同様密度の高い晩材が多く含まれるので傷が付きにくく目立ちにくいというメリットがあります。
同じ工程で柾目になる部分
柾目(まさめ)
一般的な柾目の製材方法とは異なりますが、テーパー挽きで製材を行う場合、年輪に対して直角になる柾目の木取りもそれに含まれてきます。柾目取りについて詳しくは「造作材」をご覧ください。
追柾フローリングの製材は、追柾の木取りで柾目部分まで同じように製材します。結果、追柾だけでなく柾目まで全て含まれる事になるので、「追柾+柾目」になりますが、含まれる割合が追柾部分の方が多いので「追柾フローリング」という名称にしています。
追柾(おいまさ)
柾目(まさめ)
追柾フローリング
テーパー挽きして仕上がり寸法より一回り大きく製材した原板は、桟積みして天然乾燥と人工乾燥(蒸気式低温)で乾燥させます。乾燥後は、その状態のまま養生乾燥を伴い保管し、注文の坪数に応じて、都度仕上げ加工して出荷となります。
田村材木店では追柾フローリング以外の実加工材も全て、加工を施し完全に仕上がった状態での在庫はしておりません。
追柾フローリングは丸太をスライスするように製材するので、表面から剥がすように製材する造作材の製材方法とは違い、基本的には「節」が入ることを前提として生産しています。節の程度は様々ですが、フローリングとして使用するに際して適さないものは含めません。なお、日光赤杉フローリング同様、節は枝を埋め込む不自然で後々問題の発生する確率の高い「埋木処理」及び「パテ埋処理」は行いません。また、上記の製材工程に記載しているように、追柾フローリングは「テーパー挽き」で製材しますので、「無節・上小節」などの節の少ない「役物」が多く含まれます。納品時には(発注の数量や在庫量にもよりますが)半数程度は役物が含まれます。但し、役物のみや節有りのみの注文には原則対応しておりません。
追柾フローリング特有の赤白の色合いも、年月が経つにつれその濃淡も目立たなくなります。
こちらは施工後3年が経過した追柾フローリング(無着色の自然系オイル仕上げ)の色合い。南の窓側で日中日が差し込む場所なので変化も早く、全体的に落ち着いた色合いになっています。また、色の変化もさることながら、床板の変形はどの現場でも粗変化はなく、隙間の発生によるクレームはいまだありません。
追柾フローリングは半製品(仕上加工直前品)の原板の状態で在庫しております。変形収縮が少ないという利点を活かし、フローリング以外の用途としてもご利用いただけます。羽目板などに使用する場合には、1分または2分程度の目透かし加工を入れるなどの本実目透かし加工や、目透かしの形状も、箱溝(角溝)や大面取加工などにも対応が可能です。特殊なR加工やスリット加工などを除き、基本的には羽目板の加工形状に変更しても単価は変わりません。仕上寸法も既定の寸法から大きく外れなければ対応ができます。詳しくはお問い合わせください。
商品名 | 日光杉追柾フローリング(オイマサフローリング) |
---|---|
樹種 | スギ |
産地 | 日光地区 |
寸法 | 1820×15×110(長さ×厚み×巾 ㎜) |
等級 | 追柾・柾目込み(源平) / 無節・節有込み |
表面仕上 | 超仕上 |
塗装 | 無塗装 |
加工形状 | 本実加工 糸面取 裏側(木裏)反止溝付 |
木口加工 | 加工無し ※1 / エンドマッチ加工 |
乾燥方法 | 天然乾燥+人工乾燥(蒸気式低温) |
納期 | 通常:発注より2週間程度(在庫状況により変動) |
備考 |
日光杉追柾フローリング 価格 | ||
---|---|---|
木口加工 | 加工無し | エンドマッチ加工 |
寸法 | 1820(※1)×15×110 | 1820×15×110 |
入数 | 16枚入 | 16枚入 |
単価 ※2 | ¥17,400/束(税別) | ¥23,400/束(税別) |
備考 | 坪換算:0.96坪分/平米換算:3.20平米 |
※1 エンドマッチ加工無しの場合は、製材する原木の長さが基本2m材になりますので、あえてジャストカットして1.82mにはせず、2m材の切りっ放しで納材いたします。凡その長さは2,050㎜前後となります。
※2 20坪未満のご発注の場合、別途少量刃物セット料が掛かります。詳しくはお問い合わせください。