造作材

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products造作材 Zōsaku-zai

造作材(ぞうさくざい)とは化粧材とも呼ばれ
加工を施す仕上材の総称です。

造作材とは、主に和室等に使用される敷居・鴨居・廻り縁・長押・天井板をはじめ、実加工を施した羽目板や床板等も造作材に分類されます。削る、加工するなどの手間を加え、一般的には構造材の骨組みが完成し下地材としての羽柄材を施行した後に、最終的に見える箇所に使用される化粧用仕上材として用いられる、その名の通り「造作」する材の総称が造作材になります。

等級造作材の等級

まずは、ここから。造作材の基本知識「等級」。

造作材には、天井板や腰板、羽目板などに代表される板物から、廻縁・見切などの小割材まで、大中小の多くの種類があります。これら全てに共通する木材自体の価値の位を示す基準に「等級(とうきゅう)」があります。特にスギは、はっきりと描かれる木目と、心材(赤身)と辺材(白太)の濃淡が強く表れるため、昔から「杢目合わせ」「色合わせ」をして利用してきました。加工して見出し(見える部分)に使う造作材は、必ずこの等級の選択を行う必要があり、使う側の意図に沿った造作材を提供するためにも、等級をご理解いただくことが必要になります。等級を知ってより有効に造作材をご活用ください。

造作材の等級は「木取り・部位・節」の組み合わせ。

造作材は「役物(やくもの)」とも呼称され、一般的に流通する木材の等級に加え、造作材特有の「等級(とうきゅう)」があります。
有効に造作材をご利用いただくために、基本的な「木取り(きどり)」、「部位(ぶい)」、「節(ふし)」に分けて説明いたします。

木取り

造作材の等級:木取り

  • 板目と柾目

    造作材の「木取(きどり)」には大きく分けて「板目(いため):板目取り」と「柾目(まさめ):柾目取り」の、2種類の木取りがあります。通常の製材工程においては、外側から順に内側へと行う製材方法が一般的で、その工程でできる木取りは「板目」になります。「柾目」の木取りは、接線方向に対し直角に製材するので、板目に対して収縮率が低く変形を起こしづらい、晩材と密度の関係からキズが付きづらいなどの特徴があり、建具材などに多く用いられる木取りになります。
    この板目と柾目は化粧部材において「見せる」という観点からも重要な意味を持ちます。
    したがって、廻り縁や巾木、鴨居や框などにおいても、どちらの面が「柾目」なのか、どちらの面が「板目」なのかの指定によってその部材の表情が大きく変わることになります。

  • 丸太製材
  • 板目

    板目 板目
  • 柾目

    柾目 柾目
  • 追柾

    追柾

    柾目は本来、接線方向に直角が基本ですが、製材過程において、柾目と板目の中間部分で製材をする場合が多々あります。柾目ほど木目が均一に通っていないが、板目ではない。こうした板目と柾目の中間の木取りを「追柾(おいまさ)」といいます。
    詳しくは「追柾フローリング」をご参照ください。

    日光杉追柾フローリング

柾目の特徴と木取り

木目は長手方向に線を引いたように、真っ直ぐに通っています。
樹齢を重ねた高齢の木になると年輪の間隔が更に狭く細かくなり、若く密度の低い木は木目の巾が広くなります。色合いは赤身と白太が約半分ずつの源平(赤白)が一般的ですが、高齢級の原木からは赤身(心材)が多く含まれる柾目が製材できます。
柾目の最大の特徴は、建具材としても多く使用されているように、「変形」が板目に比べ極端に少なく、密度の高い晩材が多く含まれるため「傷」がつきにくく目立ちにくいということが最大のメリットです。但し、どんなに大きな木から製材しても「半径」以上の広さの板はつくることができない事や、はじめから柾目を狙って製材する場合は、4等分に製材して、一枚製材しては上下(前後)を反転させながらまた次の一枚を製材し、少しずつ三角形が小さくなってきて、木目(年輪:晩材)と直角に製材できなくなったら、別の用途に木取りを変える方法で行うため、非常に手間が掛かる事や、四つ割にした時点で柾目板や造作材以外に応用が難しくなるので、通常は建具材を狙って製材する以外は常時行う製材方法ではありません。

部位

造作材の等級:部位

  • 心材(しんざい)と辺材(へんざい)

    造作材の「木取(きどり)」に続いて、色の指定も必要になります。特に「杉(すぎ)」の場合、ヒノキやヒバ等とは異なり、心材(赤身)と辺材(白太)の濃淡がはっきりとした樹種では、色を指定する、色を合わせるといった工程が、化粧材としての見栄えや用途を考慮したとき、とても重要な要素となります。

  • 心材(しんざい)と辺材(へんざい)

辺材(白・白太)

  • 辺材(白・白太)
  • 辺材(白・白太)
  • 辺材の部位を、業界では「白」や「白太(しらた)」と呼称します。樹齢を重ねる毎に辺材部は狭く少なくなっていきますので、白一色で製材できる巾は限られてきます。白は汎用性が高く和洋に馴染み、無節などの役物を製材しやすいので、廻り縁や押し縁等の小さな部材や、枠材などに使用されます。

源平

  • 源平
  • 源平
  • 辺材の白と、心材の赤が両方入った部位。源平という名称は、赤い旗と白い旗を掲げて戦った「源氏」と「平家」がその名の由来。巾の広い板目材や、長押等の柾目は殆どがこの源平になります。どちらかといえば最も製材しやすい部位ですが、杉の場合その濃淡がはっきりとしているので、色合わせが重要になります。

心材(赤・赤身)

右:心材(赤・赤身)/左:黒(黒芯)

  • 右:心材(赤・赤身)/左:黒(黒芯)
  • 心材・黒
  • 赤(赤身:心材)で最も注意しなくてはならないのが「色合い」です。特に杉の心材は色むらが大きく、個体差も大きいので、同じ色合いで揃える事がとても難しいため、田村材木店の日光赤杉フローリング木紅を生産する際に最もロスがでる原因となっています。しかし、「黒」は赤よりも耐蟻性や耐久性に優れているとの文献もあり、その希少価値は最も高いともいえるかもしれません。

造作材の等級:節

無節(むぶし)と上小節(じょうこぶし)

造作材の等級には「節(ふし)」の有る無しが大きく係ってきます。
基本的には造作材の場合、化粧性と加工性が重視されるため、節のないものが一般的になります。
逆に、節を見せることを前提とした等級「生節」などもあります。

  • 上小節(じょうこぶし)

    上小節(じょうこぶし)

  • 生節(いきふし)

    生節(いきふし)

  • 死節(しにふし)

    死節(しにふし)

節の等級には様々ありますが、田村材木店がその価値を付けるならば、最も難しい等級は「生節」になると思います。需要の関係から価格的には無節・上小節の方が一般的には高い単価で取引されていますが、製材の難しさ発生率から換算すれば「生節」が最も価値があるといえます。また、死節は枯れ落ちた枝を包むように成長した部分が製材によって露出した節なので、押すと抜け落ちてしまいます。これを「抜節(ぬけふし・ぬけっぷし)」と呼称します。通常、この死節が露出しているものは造作材として使用することはありませんが、上小節は枝が落ちて幹に包まれ、製材によってその境界線ギリギリのところが露出した部分になるので、その殆どが死節になります。このように「節」は、見せるという観点において統一することが難しいため、公共工事の発注などの場合は、高価ではあるが単純に統一しやすい「無節・上小節」を選択されることが多いようです。