当然の響にも聞こえるこのフレーズは、現在の建築事情に於ける、国産材使用率3割から考えれば当てはまらないのが現状です。戦後、外国産の木材が関税0%で輸入されるようになり、安価で流通量が安定した外国産材が一般建築の主流となりました。
中でも、窓や建具の枠に使用される部材は、ベニヤに代表される新建材や、米栂・スプルースなどの外国産材、そして集成材が主流として大半を占めてきましたが、近年では本物志向、自然志向が高まり、身近で良質な国産材の「杉枠材」が注目されるようになりました。
杉ほど日本の生活文化になじみ深い木はありません。
その杢目は古来より天井板や造作材などの化粧材に使用されてきました。栃木県の日光地区においても、「杉」は最も身近な樹種として古くから植林活動が行われ、面積で36%、材積で57%を占めており、最も建築に使用されている有用樹種です。
創業100年の田村材木店が提供する「日光産 杉 枠材」は、樹齢80年以上の密度の高い辺材を、ゆっくりと天然乾燥施設で自然乾燥させた、国産材の家づくりには最も適した造作材です。
無垢材はその「木材」としての特性から、湿度などの住環境の変化を受け、収縮や膨張を繰り返します。こうした寸法の変化を最小限に抑えるため、十分な乾燥や適切な木取りが必要になります。
乾燥や製品管理の点で外国産に遅れを取っていた結果、枠材の市場を席巻された国産材ですが、日光産の樹齢80年を越える建具用の良質な原木と、職人が木取りする確かな製材、そして天然乾燥施設でゆっくりと乾燥させた製品管理から生まれる、本来あるべき日本の住宅に適した「枠材」を田村材木店は提供いたします。
日光地区から出荷される、樹齢80年以上の良質な原木だけを素材に「杉 枠用造作材」として、常時数千枚、全て「耳付き」で天然乾燥施設でゆっくりと乾燥させ在庫しています。一時も在庫が切れることが無いように、年月を掛けて大量の在庫を保有するまでになりました。
風通しの良い大きな屋根の下でゆっくりと乾燥しています。お時間の御都合が付きましたら、ぜひ見学にお越しください。
実際に使用する際に最も大切なポイントになります。
田村材木店の枠材は「ロスが発生しません。」
一般的に市場に出回る「杉枠材用造作材」は、色の指定や樹齢・木目の指定ができない場合が殆どです。杉は赤身・白太の色合いのコントラストがとても強く木目がはっきりしているため、必ず色合わせや木目を揃える事が必要になりますが、納品された中に、赤の強いものや黒いもの、板目や柾目が混在していたら化粧材として使用する上で統一性に欠ける事になります。実際には使えないといったロスが発生しないよう、色合わせと木目を揃える基本的な作業を徹底いたします。
厚みの違いで、それぞれに色合い(部位)が異なります。
厚み:30ミリ(原板ラフ材寸法)
長さ:4000ミリ・3640ミリ・3000ミリ
巾 :90ミリ ~ 210ミリ 程度まで(耳付にて在庫)
等級:白太(辺材)・無節
厚み30ミリは樹皮に最も近い白太(辺材)の節の無い部分(無節)だけを製材した製材品です。主にサッシ枠やドア枠などの枠用造作材として出荷しています。白一色の造作材になりますので、枠材だけに留まらず、幕板や笠木、造作家具などにも広くご利用いただいています。
厚み:36ミリ(原板ラフ材寸法)
長さ:4000ミリ・3640ミリ
巾 :120ミリ ~ 300ミリ 程度まで(耳付にて在庫)
等級:源平(赤・白込み)・無節上小込み
厚み36ミリは主に樹皮に近い外側から2枚目で製材するので、基本は板の中央に赤身が入った「源平」の製材品が中心となります。主な用途は枠材としてはもちろん、比較的小さめのカウンター材にもご利用いただいております。また、仕上がり30ミリでご使用いただく場合には、こちらの原板36ミリをプレーナー等で仕上げて納品いたします。
厚み30mmは「白」/厚み36mmは「源平」
色合いの違いは、製材の木取りに関係します。
田村材木店では、枠材を生産できる良質なスギ原木丸太を製材する場合、木取りの基本形が決まっており、それに基づいて鋸入れを行っております。その方法からできあがる枠材は白と源平になります。
木取りの基本形は1枚目30ミリ。2枚目36ミリ。3枚目45ミリになります。
1枚目は面4寸程度を基準に白太で無節が現れた場合に限り30ミリに製材。2枚目は36ミリに製材しますが芯側に寄る分、30ミリ板より巾が広い板が取れますが、色は白に赤が含まれる源平が中心で、小さな節が含まれる場合があります。
枠材をご利用いただくために、田村材木店では4種類の仕上げ、納品方法をご用意いたしております。
板の両端に原木(丸太)の丸みが残ったままの状態を「耳付き(みみつき)」と業界用語では呼称しています。この耳付き板の状態での納品になります。
製材後、表面(木表側)には、干割れを防止するための木工用ボンドによく似た割れ止め用のボンドを塗布して、天然乾燥施設で基準に達した材から出荷をします。
耳付き板は、製材・乾燥後何も手を掛ける事無く、その状態のまま出荷する製材品になります。
手を掛けない分、最も安価で御提供することができます。
寸法の計算は、実際に使用できる耳を除いた内側の末口側(頭の方)の内径で算出します。
ある程度在庫ができる環境があり、且つ加工ができる環境があれば、最も有効にロス無く使える納材方法になります。
末口(頭)側
元口(根)側
丸太(原木)は少し極端な例えになりますが円錐形をしているので、先端(末口)と根(元口)では大きさが異なります。木を板状に製材した場合も板の末・元の両端では板巾が異なってきますが、こうした場合の木材価格の算出方法は末側の巾の狭い方で算出するので、状況に応じて長さを自由にカットしてご使用される場合は、元の方にいくほど板巾が広く使え、しかも価格は上記写真で言えば160ミリの価格で220ミリの板が使える計算になります。
なお、巾を1寸(約30ミリ)単位でご注文いただいた場合、5寸(約150ミリ)は150ミリから179ミリが含まれますので更にお得になります。
耳付板の原板を、御指定の寸法に沿って巾を製材機で切落して納品いたします。
基準は耳付板と同じですので、製材した状態で天然乾燥を経て仕上げ加工は行わないラフ(荒材:挽きっ放し)の状態になります。
巾はミリ単位で御指定ができますが、注意が必要なのは、ラフ材での納品となりますので、その後仕上げ加工の際の削りシロを見込んでの寸法指定が必要になります。
必ず確認はいたしますが、御指定の寸法が「仕上寸法」なのか「ラフ寸法」(削りシロまで見込んだ寸法)なのかの記載をお願いします。
巾詰めした状態の製材品を、ご指定の長さに切って納材する方法です。
長さのカットに際しては、木口にバリが立つ場合がありますので、ご指定いただいた長さに「切りシロ」を付けプラス10~50ミリ程度の余裕をもって切断し納品いたします。
長さカットの場合は、部材の使用箇所が指定されている場合がほとんどですので、木割り書に合わせ切断面にNoを記載いたします。
また、使用箇所が限定されることから、万が一の不備に備え、状況に合わせて弊社負担で予備材を含めて納品しております。
仕上方法は大きく分けて3通り。
I.プレーナー仕上
II.超仕上
III.その他加工
御注文の寸法に合わせ、天然乾燥の耳付き板を天然乾燥施設から運び出し、必要な寸法に巾を詰めてから長さのカットを行い、ご依頼の仕上げ内容に沿って仕上げ加工を行います。
プレーナー仕上げはラフの状態から直接加工。超仕上げは一旦プレーナー仕上げを行ってから仕上げ加工。その他の加工は加工状態に合わせ都度対応します。
プレーナー仕上げは、仕上寸法より5ミリ程大きく製材した荒材(ラフ)材を、上下左右4箇所の刃物が付いた加工機で4面削って納品いたします。プレーナー機は基本的に、寸法を決める(揃える)ための加工機になりますので、コンマミリ単位での微調整が可能ですが、加工時に刃物跡(ナイフマーク)やローラー跡が付きます。用途によってはこの状態で十分な使用用途も想定できますが、造作材としては最終仕上前の加工品としてご理解ください。
超仕上げは一般的に造作材の最終的な仕上方法として用いられる加工方法です。特段御指示が無い場合は木表側及び両コバの3面超仕上げ加工を行い、現場でそのまますぐに施行できる事を前提として納品いたします。なお、長さのみ「伸び」を付けて納品いたしますので、現場での調整をお願いしております。また、原板の長さは原則4000ミリ・3640ミリの2種類になりますので、サッシ枠などの複数個所同じ寸法を御利用の場合は、長尺での納品も可能です。
長さは4000ミリ迄、厚み30ミリ・36ミリの2種類、巾90ミリ程度から300ミリ程度まで。この原板の寸法範囲内であれば様々な加工形状を作り出すことができます。例えば36ミリの原板の巾寸法を統一して実加工を施せば、30ミリ厚みの床板が作れます。表面の加工形状を少し変えて、溝を掘り込み更に実を付ければ、スリット加工の羽目板(壁板・天井板)にもなります。詳しくはお問い合わせください。